テレビ東京の『ワールドサテライト後』

テレビ東京の『ワールドサテライト後』








大前研一訳、ピーターズ・ウォータマン共著の『エクセレント・カンパニー―超優良企業の条件―(下)』という書籍を紹介する。


ひとに対する配慮なくして良い機構などというものは考えられないし、逆もまた真なのです。ピーターズ氏&ウォータマン氏はさらに研究を続けました。その結果分かったこと、それは組織づくりを知的に考えようとすれば、互いに切り離せない関係にある少なくとも七つの変数を同時に包含して扱っていかざるをえないことです。その七項目とは、機構、戦略、ひと、経営の型、体系と手順、指標となる理念、および企業文化とも言うべき共通の価値観、最後に現有する(または望ましい)企業の強さ、あるいは技術の七つです。このアイデアをより正確に規定し磨き上げたものが後に「マッキンゼーの七つのS」のフレームワークになったものです。「マッキンゼーの七つのS」とは、①共通の価値観、②機構、③システム、④スタイル、⑤スタッフ、⑥スキル、⑦戦略です。若干の無理はありましたが、これを切り貼りして形を整えることによって、七つの項目の全てが英語のSの頭文字で始まるようにし、また七つが相互依存しているという点を強調して、これをデザイン化しました(上巻・43頁参照)。


調査の結果はピーターズ氏とウォータマン氏も驚くほどめざましいものでした。超優良企業は、何よりもまず基本的なところで特に優れているということが、予想したよりもはるかにはっきりと示されたのです。手法や道具を思考に代用しません。知能を知恵よりも優先させません。分析に行動の邪魔をさせません。逆にこうした企業は、この複雑な世の中で必死に物事を単純にする努力をし、またその努力を諦めません。最高の品質にこだわります。徹底して顧客にあわせます。従業員の声に耳を傾け、大人として彼らを扱います。革新的才知のある製品開発やサービスのチャンピオンに自由にやらせます。すばやい行動と実験精神に付随して起こる多少の混乱はいとわないのです。革新的な超優良企業を最もよく特徴づける八つの基本的特質があります。それは、①行動の重視、②顧客に密着する、③自主性と企業家精神、④ひとを通じての生産性向上、⑤価値観に基づく実践、⑥基軸から離れない、⑦単純な組織・小さな本社、⑧厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ、です(上巻・49頁参照)。


訳者の大前研一氏はこの書籍の読み方について述べています。大前研一氏は、これを“米国における”物語としてではなく、一般に企業経営の基本思想についての極めて実証的な、平易な読み物として扱うことが正しい読み方だと考えています。米国とか日本とか言って経営比較をしているうちは、まだ本物ではないのです。どんな企業でも大勢の人が思っているように企業目的に申し合わせたように精魂を込めて打ちこんでくれる、というのは大変なことです。二人でも意見があいません。10人ではまとめられない、という人間の集団を何百人、何万人と集めて共通目標に邁進させることは神技に近いのです。金を払えば全て解決、というものではありません。コストに見合う成果がなければ当然競争には負けますし、優良企業として残っていけません。まして長年にわたって好業績をあげる一兆円規模の巨大企業である超優良企業などというのは(あるいはそういう企業を作り、運営している人は)、何を考え、どのようにしているのでしょうか。こういう疑問に答えるためのヒントが、たくさんこの書籍に出ています。それを学ぶべきですというのが、大前研一氏の意見です(314頁参照)。